2014年10月1日水曜日

入院生活(その2)

さて、入院中はおもに安静&点滴で、MRIの検査を行ったのだけれど、少しずつ症状は改善されてきて、起き上がることさえ難しかったのに、2週目の今では近所を散歩できるほどになった。
けれど、治ってはいない。前とは全然違う。自分のなかに大きな大きなブレーキができた感じ。

入院中気がかりだったのは、やっぱり子どもたち。
運動会に行けないことは入院前に話していた。運動会以外にも行けないものがたくさんあったので、子どもたちには「ママヘリコプター出動中」と説明してある。
なんのこっちゃわからないだろうけど、私たちは空想のなかでよく話をする。
「ママは今ちょっと頭が痛いから、今日からママヘリコプターを出動させるわ。ヘリコプターの通信で見てるわ」
そう言うと、
「なにそれ、そんなんないわ!」とか最初は言うけど「それっていくつある?」「どれくらいの大きさなん?」とやがて食いつく。
「今日も幼稚園いったで。リレーの練習みてたもん」
と多分やってそうなことを息子に言うと「!!!」という顔してビックリしてる。アホやなあ(笑)
娘は当然信じてないけれど、一緒に想像の世界を楽しんでくれる。

ちょっと話それるけど、娘は本が大好きな子に、息子は勉強はどっちでもいいから運動が得意な子になってほしいと思ってたけれど、ほんまにその通りになってきていておもしろい。
小学校1年生の娘は1人で赤川次郎の本を読んでいる。年中の息子は今年もリレー選手のもよう。
その代わり娘は走りが遅い。息子は「まま」しか書けない(笑)
まあいいねん、いいねん。なんか一つ得意なことあれば、それで自信がつくから。

初めての小学校の運動会は入院してたので行けなかった。
前日に娘から「ママ、あしたのうんどうかいはヘリコプター500だい?」ってメールが入ったので、「ちょっといまじゅんびちゅう。あしたは1000だいがうんどうかいにいきます。ママヘリコプターでずっとみてるからね」と返事しておいた。
私がいないぶん、友だちがめちゃめちゃ応援してくれてた。旦那が病室に持ってきてくれたビデオ観て、みんなが帰った後泣いた。

病気になって初めて気づくなんて、今まで何をみて生きてきたんだろうと思うけど、こんなにたくさんの人に支えられてるなんて思わなかった。
今まで、幸せってのはつらいことや悲しいことがあるからこそ感じられるものなんだと思ってたけど、違うみたい。
ほんとはたくさんの幸せに囲まれてたのに、走ってばかりで気づかなかった。
幸せはいつもそこにあったんだと、立ち止まった今やっと気づいた。

甘えるのがド下手だったけど、やってもらって申し訳ないとかやなくて、ありがとう、じゃあ次はうちが助けるわ!って思うほうがずっといい。

月曜日に最後の検査をして、火曜日に旦那と母が来て先生の説明を受けた。
体調もいいし、このまま治るんちゃうかなあと密かに期待していたけれど、先生から出た一言目は「難しい病気です」だった。画像も入院前と変わっていないそうで。
低随圧の症状もあるけれど、他の病気の可能性が出てきた。
肥厚性硬膜炎、と言われたと思う。
まさかそんな重い話だと思わなくて、説明室にメモ持っていかなかったことを後悔。「ひこう…飛行?」という私の心のなかの疑問を見透かすように、「肥厚はぶ厚い意味の肥厚です」と先生が付け足す。なぜ勘違いがバレたのだろう。

しかし…治るどころか、新たな病気の可能性が出てくるとは。
これ発症して一発目に言われてたら落ち込んでただろうけど、「ああ、この病院に来てよかった…」というのが正直な感想。後は先生を信じてお任せしよう。
今は落ち着いてるので無理な検査はしないで、自宅で経過をみていきましょうとのこと。
今すぐ退院しても大丈夫ですけどどうしますか?と聞かれ、2日に退院することに決定。
いろんな思いがグルグル頭のなかをめぐっていたので、少し時間をもらった。

家族が帰って、とりあえず先生に言われた病名を調べてみる。
どうやら長い長い闘いになりそうだ。
まあ、可能性ってだけでなにもわからないので、それ以上調べるのはやめといた。

私の脳の画像は他の人と明らかに違うらしい。専門的なことはよくわからないけど、それはあまりよくないことなのだろう。
でも、脳の状態なんて普通に生きてて知る術もないし、今まで頭痛なかったし、脳ドッグを受けるという発想もなかったし。なんとなく私は病気にならないという変な自信があって、今になってもどうも難しい病気の実感はない。
よく考えたら、健康な人だって毎日5000個ものがん細胞が体内にできてるのだから、健康な毎日を過ごすほうが奇跡なのかもしれない。
私の脳は今までよくがんばったのだと思う。かわいい子どもにも会えて、仕事も自宅でできるし、気がつけばたくさんの人に支えられてる。いい先生にも会えた。清々しいくらいハッキリと言ってくれる先生なので、こちらも余計な詮索をせずに済む。

さすがに病気になってよかったとは言えないけれど(笑)、すごくいい機会になった。
前の私なら病気のことブログには書かなかったかもしれない。前回は治ると思ってたから書いたのだし。
でもこうして公開することで、また新たな気づきや出会いがあるかもしれないと期待してます。

さて、明日はいよいよ退院。
さっき先生に「あのーお酒は飲まないほうがいいんですか?」とおそるおそる聞いてみたら、まあたしなむ程度にとのこと。たしなむ程度ってどのくらいかな?
まあ、このあたりも自己責任だな。

飲んじゃダメ!って言われなくてよかった…(笑)